『扁桃腺は小児におけるSARS-CoV-2の主要な持続感染部位である』

『扁桃腺は小児におけるSARS-CoV-2の主要な持続感染部位である』

https://journals.asm.org/doi/10.1128/spectrum.01347-23

 

研究内容
SARS-CoV-2が、新型コロナウイルス感染症の症状がなく、最近上気道感染症の既往歴がない小児の口蓋扁桃、アデノイド、分泌物に感染する可能性があることを示した。
 
期間 2020年10月―2021年9月(オミクロン株以前)
対象 いびき/OSAまたは再発性扁桃炎により扁桃摘出術を受けた48人の小児
 

さまざまな組織の扁桃腺にさまざまな SARS-CoV-2 変異型が存在することが実証され、SARS-CoV-2抗原の検出は扁桃腺に限定されず、嗅覚領域の鼻細胞でも検出。口蓋扁桃とアデノイドは、たとえ新型コロナウイルス感染症の症状がなくても、小児において SARS-CoV-2 による長期にわたる RNA の存在部位です。

 

たとえ最近の新型コロナウイルス感染症の症状の証拠がなくても、扁桃腺が長期にわたる感染部位である可能性があることを示し、SARS-CoV-2の病因の分野に進歩をもたらした。B および T リンパ球、マクロファージ、樹状細胞の SARS-CoV-2 感染は、これらの二次リンパ器官における免疫応答の開始を妨げる可能性があります。さらに、サイレント感染した小児からの呼吸器分泌物中の SARS-CoV-2 RNA の放出は、他の病因によって引き起こされる急性呼吸器感染症の症状が存在する場合に診断が混乱する可能性についての懸念を引き起こしている。

 

 
注意
小児および青少年では成人に比べて重症の新型コロナウイルス感染症の頻度がはるかに低いですが 、小児の気道における ACE2 および TMPRSS2 の発現が低いことが要因となっています 。
研究対象期間はオミクロン株以前のもので、当時のウイルスの性質においては小児は罹りにくい性質だった。オミクロン株になって以降のSARS-Cov-2ウイルスは感染対象を次第に低年齢化させ、猛威を振るっている。
 
これは感染経験のない小児が 現在感染中でないにもかかわらず、扁桃腺およびアデノイドで新型コロナ感染症(Covid-19 )のSars-CoV-2ウイルスがそれらの組織内から検出され、複製を行っていることがわかったという研究。
 
以前から、最近に症候性気道感染症の感染歴がない慢性扁桃疾患患者の扁桃腺やアデノイドからは、風土病のコロナウイルス(今回の新型以前のコロナウイルス)やその他呼吸器ウイルスが高率でPCR検出されていた。それは ”ヒトの扁桃腺が無症候性(症状が見られない)の呼吸器ウイルス感染症の部位である”と言うことを示している。

 

※リンク先論文の「議論」を読むべき。

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